昨年4年ぶりに開催された船渡御はご神霊を戴く「奉安船(ほうあんせん)」を先頭に、陸渡御の御供の方々が乗る「供奉船(ぐぶせん)」を供として天神橋付近から大川を遡ります。一方、上流の飛翔橋付近からは協賛団体などの「奉拝船(ほうはいせん)」が出発し奉安船をお迎えします。行き交う船は観光船を含むと100隻ほど。供奉船と奉拝船がすれ違う際には「大阪締め」が交わされ活気ある風景が見られます。
梅風講は、河川工事・造船を行う野田興業(株)(大阪市都島区)と広瀬産業海運(株)(大阪市港区)の2社で運営され、奉安船・供奉船・奉拝船で使用されるバージ船を野田興業が、台船を広瀬産業が担当します。またそれらを引っ張る「曳舟(ひきふね)」、曳舟を操舵する船頭の手配、「大篝船(おおかがりぶね)」などの舞台船の手配を行います。さらに、24日(宵宮)・25日(本宮)には天神祭用の仕様が成された船を運輸局へ申請し、客船としての許可を取得します。客船とした許可のある船のみの運行を行います。
天神祭では長年「御船講」と「供船講」が船渡御の運営を行っていたが、その後、御船講が休講し船数の確保が難しくなる中で、供船講の講元から現在の講元に声が掛かり船渡御の船を提供することになりました。その際、新たに講社を立ち上げることとなり、先代の名誉宮司である寺井種重氏に「梅風講」と名付けていただき、船を扱う講社の中で唯一「船」の字を含まない講社が誕生したのです。梅風講の設立以降、30年以上運営に携わる野田興業を含む、2社体制で運営しており、令和元年からは広瀬産業海運と共に船渡御を支えています。
以前の船渡御行列では、桁下高が最も低い「銀橋(桜ノ宮橋)」は神輿を乗せた奉安船が通れず、銀橋の手前で引き返していました。そこで、梅風講が銀橋を通過する際に、船に水を引き込みその重みで1m船体を沈めること通れるようになりました。今ではさらに上流の飛翔橋まで船渡御行列を行っています。
例年、天神祭渡御保存協賛会様から依頼を受けて、6月の頭ぐらいにはその年の隻数が確定します。今年は新たな企業の船が加わったり、JTBさんがプレミアム船をお披露目されたりするので、どんな船になるのか楽しみにしてください。
また、橋の中でも最も低い桜宮橋(銀橋)をくぐる際、船体が1m低くなるそのダイナミックな技にぜひ注目していただければと思います。今年も安全に、事故のないように船渡御を運営するのが我々の使命であり、船の保守管理も大切な役割です。これからは次代の若い世代に引き継ぎ、船渡御を支え、盛り上げていってほしいと思います。