御鳳輦(ごほうれん)講は、大阪天満宮の近隣の乾物商が中心となる地域の氏子による講で、およそ40名で構成されています。
菅原道真公の御霊がお遷りになった御鳳輦をお運びするのが主たるお役目です。また10年ごとの漆の塗り替えなど、御鳳輦の保全および修復も担っています。
御鳳輦には神霊移御祭で梅の枝を通じて公の御霊がお遷りになります。陸渡御列では神童が梅の枝を持って行列を先導、御鳳輦は行列の後方で道真公の御霊が行幸するのをお運びします。
船渡御では、御霊を運ぶ奉安船に御鳳輦を乗せて船渡御列の中心を航行します。御鳳輦奉安船にはかがり火が焚かれ、水上の神事「船上祭」が行われます。ほかに供奉船1隻を御鳳輦講で運行してご奉仕します。
御鳳輦講は比較的新しい講で、150年ほど前「鉾流神事を行う場所に鳥居をつくりたい」という天満宮宮司の願いに応えて、当時景気の良かった乾物問屋などが鳥居と灯篭を奉納したことがきっかけと言われます。その時に天満宮に飾ってあったお神輿を担ぐことを許され、やがて明治9(1876)年に御鳳輦講が成立しました。
天満宮にほど近い青物市場横の市之側筋には、最盛期には1000軒もの乾物屋が軒を連ねていました。御鳳輦はもとはこれらの職業講でした。今は食生活の移り変わりで20軒ほどとなり、乾物屋を中心に地域の氏子たちが集う講となっています。
渡御列では平安時代の行幸を模して前方に2人の随人を配し、輦の前方左右に紫翳を、後方には菅翳を捧持したものが従います。
お祭りを静と動に分けるならば、御鳳輦は「静」の部分です。神輿のように威勢良く担ぐことはなく、獅子舞のように賑やかに踊ることもありません。陸渡御では御鳳輦を粛々と担ぎ、船渡御でも賑やかな船団で唯一雅楽が演奏され、船同士交わされる手打ちも相手からのものを受けるのみ。神々しい雰囲気に包まれた御鳳輦奉安船は船団の中心にあり、川にかかる橋の中央に正中(せいちゅう)の板塀が立てられ、しめ縄が張られます。これは御鳳輦を見下ろすことのないようにとの配慮からです。
御霊を大切にお運びする自負を持ってご奉仕するのが、われわれ御鳳輦講です。道真公が地域をお守りくださるおかげで、1年間を元気で無事に生活できてありがたいことです。
日本3大祭の1つである天神祭は、祭の厳粛さと華やかさを感じられる他にはないお祭です。商いの町であり水都である大阪の夏祭りを、皆さまに楽しんでいただければ幸甚でございます。
※御鳳輦講の供奉船へご乗船をご希望の方は問い合わせくださいませ。
御鳳輦講 事務局
gotoko@mtg.biglobe.ne.jp(@は半角に書き換えてください)